
みなさん、こんばんは。
経済的自由を目指す投資家の森田です。
【6027】弁護士ドットコムが1月25日に2021年3月期第3四半期決算を発表しました。
増収減益決算です。
今回は弁護士ドットコムの決算について分析していきます。
弁護士ドットコム 第3四半期決算は増収減益

弁護士ドットコムの2021年3月期第3四半期決算は増収減益となりました。
売上高 27.1%増
営業利益 2.3%減
純利益 21.2%減
となる決算です。
売上高が大きく伸びる一方で営業利益、純利益は落ち込んでいます。
営業利益が減益となったのは販管費の増加、純利益が営業利益以上に落ち込んだのは投資有価証券評価損などの特別損失を計上したためです。
これら業績のの詳細を見ていきましょう。
売上総利益は増加

上記は弁護士ドットコムの損益計算書です。
営業利益は減益となっていますが、上記の通り売上総利益はしっかりと増加しています。
増加率は約27%増です。
売上高とほぼ同様の高い成長率ですね。
粗利益ベースではしっかりと増加していますので、サービスそのものの収益性が悪化したわけではありません。
粗利益が高い成長を遂げた一方で、営業利益が減益となったのは販管費が増加したためです。
販管費の増加

上記の通り、弁護士ドットコムの販売費及び一般管理費(販管費)は今期大幅に増加しています。
前第3四半期までの比較では30%以上の増加です。
過去の販管費の推移をみると前期の第3四半期に販管費が大きく増加しています。
これはCMなどの広告宣伝費が大きく増加したためです。
この時は四半期単体の決算では営業赤字となっています。
今期については第1四半期~第3四半期まで全ての四半期で、四半期単体で営業赤字となった前第3四半期の販管費を超えています。
これにより営業利益が大きく圧迫されたわけです。
ただ、前第3四半期単体では営業赤字となりましたが、今期はそれ以上の販管費が発生しているにも関わらずしっかりと黒字を維持しています。
弁護士ドットコムは、先行投資を積極的に行い成長を優先していますので、営業減益ではありますが、その結果が見え始めている点は評価したいですね。
あとはどの段階で、販管費の増加を売上高の成長が上回るかが営業利益の増加の鍵となります。
特別損失の計上

営業利益が2.3%減であるのに比べ、純利益が21.2%減と大きく減少しているのは上記の通り特別損失を計上しているためです。
投資有価証券評価損、減損損失など合計3,000万円程度を計上しています。
経常利益が2億2,600万円程度ですので、経常利益の10%を超える規模というと小さくはないですね。
これらについては決算短信では特に述べられておらず、もう少し詳細な説明があってもいいかなと思います。(金額的には上場企業としては大したことない金額ですが)
全体としては、人件費や広告宣伝費などを先行投資した結果、売上高がしっかりと成長していますが、費用が増加している分、利益の成長は停滞しているという状況ですね。
会社側としては予想通りといったところでしょうか。
(特別損失は別として)
このまま、売上高が高成長していけば利益もあとからついてくるのではないでしょうか。
では、つづいてサービス別の業績などを見ていきます。
サービス別売上

弁護士ドットコムのサービス別売上高推移です。
主力の弁護士マーケティング支援サービスは頭打ち感が否めませんね。

このように有料会員数は減少傾向です。
登録弁護士数は増加していますので、そちらの方面を生かした事業展開ができればおもしろそうですが。
一方で、電子契約サービスであるクラウドサインは大きく成長しています。
クラウドサインが成長の柱

クラウドサインの売上高は上記の通り、四半期毎に右肩上がりに急成長中です。
今期の売上は前期比で優に2倍を超えており、来期以降も2倍成長を見込むとしています。
デジタル化は政府も推進している大きなテーマであり、電子契約サービスの需要は大きいでしょう。
クラウドサインは大きな需要が見込める電子契約サービスの中でもトップシェアであり、導入企業数も急拡大しています。

この成長を見ると営業利益を圧迫する多額の広告宣伝費をかけてでも、成長を優先させる会社側の方針も頷けますね。
ただ、クラウドサインのシェア80%超というのには疑問を持っています。
クラウドサインのシェアは80%超なのか

クラウドサインのシェア80%超というのは2020年3月末時点のものです。
決算資料にも上記の通り、そのことが明記されていますのでシェア80%超が誤りというつもりはありません。
ただ、GMOグローバルサインHDの電子契約サービス「Agree」が下記の通り急成長しています。

※GMOグローバルサインHDの決算説明資料より抜粋
導入企業数・アカウント数という呼称が異なりますが、9月末のクラウドサインのアカウント数が10.7万件となっており、前出の弁護士ドットコムの決算資料でも9月末の導入企業数は107,002社となっていますので大きな違いはないでしょう。
比べてみると決算時期は異なりますが、クラウドサインの12月末12.7万に比べてAgreeは11月8日時点で7万です。
集計方法など細かな違いはあるかも知れませんが、現時点でクラウドサインとシェアが80%超ということはなさそうですね。
どちらの企業が良いというわけではありませんが、圧倒的なシェアはそのことが参入障壁となりますのでクラウドサインを脅かす存在があるということは知っておいた方が良いでしょう。
今後も弁護士ドットコムには注目していきます。
※追記
シェアについて書いていましたが、GMOグローバルサインHDが記事を投稿した当日に「NO1達成」とプレスリリースを出しました。

弁護士ドットコムの決算翌日に出しているのがバリバリ意識している感があって面白いですね。笑
投資家としては別にどちらかにしか投資してはいけないルールがあるわけではありませんので、電子契約サービスという分野が今後も長期的に成長すると思うのであれば両方に投資するのもありだと思います。
100か0かに絞る必要はありません。
ライバル企業にも投資して、企業同士が切磋琢磨して市場自体が成長していくというのも投資家としてはありがたいでしょう。
今後も電子契約サービス市場には注目していきます。



弁護士ドットコムの2021年3月期第3四半期決算は増収減益となりました。
売上高 27.1%増
営業利益 2.3%減
純利益 21.2%減
となる決算です。
売上高が大きく伸びる一方で営業利益、純利益は落ち込んでいます。
営業利益が減益となったのは販管費の増加、純利益が営業利益以上に落ち込んだのは投資有価証券評価損などの特別損失を計上したためです。
これら業績のの詳細を見ていきましょう。
売上総利益は増加

上記は弁護士ドットコムの損益計算書です。
営業利益は減益となっていますが、上記の通り売上総利益はしっかりと増加しています。
増加率は約27%増です。
売上高とほぼ同様の高い成長率ですね。
粗利益ベースではしっかりと増加していますので、サービスそのものの収益性が悪化したわけではありません。
粗利益が高い成長を遂げた一方で、営業利益が減益となったのは販管費が増加したためです。
販管費の増加

上記の通り、弁護士ドットコムの販売費及び一般管理費(販管費)は今期大幅に増加しています。
前第3四半期までの比較では30%以上の増加です。
過去の販管費の推移をみると前期の第3四半期に販管費が大きく増加しています。
これはCMなどの広告宣伝費が大きく増加したためです。
この時は四半期単体の決算では営業赤字となっています。
今期については第1四半期~第3四半期まで全ての四半期で、四半期単体で営業赤字となった前第3四半期の販管費を超えています。
これにより営業利益が大きく圧迫されたわけです。
ただ、前第3四半期単体では営業赤字となりましたが、今期はそれ以上の販管費が発生しているにも関わらずしっかりと黒字を維持しています。
弁護士ドットコムは、先行投資を積極的に行い成長を優先していますので、営業減益ではありますが、その結果が見え始めている点は評価したいですね。
あとはどの段階で、販管費の増加を売上高の成長が上回るかが営業利益の増加の鍵となります。
特別損失の計上

営業利益が2.3%減であるのに比べ、純利益が21.2%減と大きく減少しているのは上記の通り特別損失を計上しているためです。
投資有価証券評価損、減損損失など合計3,000万円程度を計上しています。
経常利益が2億2,600万円程度ですので、経常利益の10%を超える規模というと小さくはないですね。
これらについては決算短信では特に述べられておらず、もう少し詳細な説明があってもいいかなと思います。(金額的には上場企業としては大したことない金額ですが)
全体としては、人件費や広告宣伝費などを先行投資した結果、売上高がしっかりと成長していますが、費用が増加している分、利益の成長は停滞しているという状況ですね。
会社側としては予想通りといったところでしょうか。
(特別損失は別として)
このまま、売上高が高成長していけば利益もあとからついてくるのではないでしょうか。
では、つづいてサービス別の業績などを見ていきます。
サービス別売上

弁護士ドットコムのサービス別売上高推移です。
主力の弁護士マーケティング支援サービスは頭打ち感が否めませんね。

このように有料会員数は減少傾向です。
登録弁護士数は増加していますので、そちらの方面を生かした事業展開ができればおもしろそうですが。
一方で、電子契約サービスであるクラウドサインは大きく成長しています。
クラウドサインが成長の柱

クラウドサインの売上高は上記の通り、四半期毎に右肩上がりに急成長中です。
今期の売上は前期比で優に2倍を超えており、来期以降も2倍成長を見込むとしています。
デジタル化は政府も推進している大きなテーマであり、電子契約サービスの需要は大きいでしょう。
クラウドサインは大きな需要が見込める電子契約サービスの中でもトップシェアであり、導入企業数も急拡大しています。

この成長を見ると営業利益を圧迫する多額の広告宣伝費をかけてでも、成長を優先させる会社側の方針も頷けますね。
ただ、クラウドサインのシェア80%超というのには疑問を持っています。
クラウドサインのシェアは80%超なのか

クラウドサインのシェア80%超というのは2020年3月末時点のものです。
決算資料にも上記の通り、そのことが明記されていますのでシェア80%超が誤りというつもりはありません。
ただ、GMOグローバルサインHDの電子契約サービス「Agree」が下記の通り急成長しています。

※GMOグローバルサインHDの決算説明資料より抜粋
導入企業数・アカウント数という呼称が異なりますが、9月末のクラウドサインのアカウント数が10.7万件となっており、前出の弁護士ドットコムの決算資料でも9月末の導入企業数は107,002社となっていますので大きな違いはないでしょう。
比べてみると決算時期は異なりますが、クラウドサインの12月末12.7万に比べてAgreeは11月8日時点で7万です。
集計方法など細かな違いはあるかも知れませんが、現時点でクラウドサインとシェアが80%超ということはなさそうですね。
どちらの企業が良いというわけではありませんが、圧倒的なシェアはそのことが参入障壁となりますのでクラウドサインを脅かす存在があるということは知っておいた方が良いでしょう。
今後も弁護士ドットコムには注目していきます。
※追記
シェアについて書いていましたが、GMOグローバルサインHDが記事を投稿した当日に「NO1達成」とプレスリリースを出しました。

弁護士ドットコムの決算翌日に出しているのがバリバリ意識している感があって面白いですね。笑
投資家としては別にどちらかにしか投資してはいけないルールがあるわけではありませんので、電子契約サービスという分野が今後も長期的に成長すると思うのであれば両方に投資するのもありだと思います。
100か0かに絞る必要はありません。
ライバル企業にも投資して、企業同士が切磋琢磨して市場自体が成長していくというのも投資家としてはありがたいでしょう。
今後も電子契約サービス市場には注目していきます。


