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みなさん、こんばんは。

【2337】いちごを主力銘柄としている個人投資家の森田です。

昨日に引き続き、【2337】いちごの株主総会の内容を紹介します。

前回のいちご株主総会記事はこちら





【2337】いちご2020年2月期株主総会


前回の記事では

・いちごの株主総会の議決について

・いちごの配当、自社株買い、株主優待などの株主還元について

・いちごの業績について

紹介しました。

今回はいちごのコロナショックに対する対応や質疑応答などをメインに紹介していきます。

ホテルなどコロナショックの影響が大きな物件の簿価を切り下げ

コロナウイルスの影響でホテルや一部の商業施設は収益性が低下しています。
収益性が低下すれば当然、売却価格も低くなります。

いちごは低価法をすみやかに適用し、収益力が低下した販売用不動産について簿価の切り下げを実施しました。
これにより、2020年3月期決算では特損を計上しています。

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純利益は大きく低下して一方で、バランスシートの将来的なリスクを軽減しました。

株主総会では、現在の状況ではホテルなどの売却は行わず、市況の戻りを待つということでした。

ホテルの売却は当面行わない

いちごの強みは心築と呼ばれる不動産価値向上技術にあります。

取得した物件をそのまま売却するのではなく、物件に手を加えて価値を向上させてから売却することで高い利益を生み出すことができるのがいちごの強みです。

現在、ホテルはコロナウイルスの影響で収益力が低下しており、売却する場合は相応の価格にしなければなりません。
株主総会の説明では、せっかく心築により価値を向上させた物件を安値で売る気はないようで1年ほどは売却を控えるということでした。


よって、今期予想は物件の売却をほとんど見込まない保守的な予想となっています

今期予想はかなり保守的

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今期予想はレンジでの予想であり、大幅な減益予想となっています。
減益の理由の大部分は、物件の売却を控える前提だからです。

株主総会時の説明ではレンジの下限の予想は、既に契約しているもの以外は売却がゼロと見込んで予想しているとのことでした。

前述の通り、本来であれば心築により価値が向上した物件がコロナショックにより一時的に価値が減少しているという状況なので、投げ売りする気はないようですね。

今回、簿価を切り下げた物件について市況が戻るのを待つことができれば、本来の物件価格で売却することが可能になりますので、その場合売却益は大きくなりますね。

また、コロナショックの影響が小さいオフィスや住宅などは物件売却の引き合いがあるとのことでした。
これらの物件売却については期待できそうですね。

いちごはオフィスや、ホテル、住宅、商業施設など多数のアセットを保有しており、今回のように一部のアセットタイプの市況が悪化しても他のアセットタイプが補ってくれます。
複数のアセットタイプを保有していることと、多様な売却先があることがいちごの強みですね。


いちごはホテルなどについて減損を計上し、バランスシートを改善させるとともにキャッシュフローを得るために保有物件の固定資産化を進めています。

心築資産の固定資産化

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いちごは2020年2月期に心築資産の大部分を固定資産化しています。

販売用不動産と固定資産の大きな違いは減価償却の対象となるかどうかです。
販売用不動産は減価償却の対象となりませんが、固定資産は減価償却の対象となります。

いちごの場合1,000億円程度の販売用不動産を固定資産へと振り替えましたので、その分減価償却費が増加します。

減価償却によるメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット キャッシュフローが向上する

デメリット 会計上の利益が減る

減価償却費は費用計上されますので、当然利益がその分減ることになります。
一方で、減価償却費は実際に支払いが生じるわけではありません。

ですので、会計上の利益が減ることにより、支払うべき税金も減りますので企業が持つ現金は増加することになるのです。

いちごは成長投資、経営基盤の強化のためキャッシュフローを重視した経営をしており、今回の販売用不動産の固定資産への振り替えはこの一環ですね。

財務基盤の強化

いちご株式会社はここ数年で財務基盤の強化に取り組んでいます。
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借入金利は1%を下回っており、借入期間も10年と長期化しています。

無担保のコミットメントラインも200億円確保しており、今回のコロナショックのような事態が発生しても経営が簡単に揺らがない財務基盤を作り上げてきました。

その成果があるからこそ、前述のようにコロナショックの影響で一時的に価値が減少しているホテルなどを安値で売却することなく適正な売却時期まで待つことができるわけですね。


資金繰りに余裕がない場合、本来の価値より低いとわかっていても物件を売却せざるを得ない状況になってしまいます。

さて、では最後にいちごの株主総会の質疑応答から気になったところを紹介します。

株主総会の質疑応答

質疑応答で気になった質問は2つです。

今期業績予想について

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前述の通り、物件売却を抑えることを前提に予想しているとのことです。
レンジ下限については契約済みの案件以外、物件売却を見込んでいないとのこと。
賃貸収入も減ってはいるが、それほどの減少ではなく大部分は物件の売却益の減少によるもの。

せっかく、心築により価値が向上した物件をこの状況であえて売ることはしないと考えているようです。
かなり保守的な予想であり、レンジの上振れを目指していくということでした。

自社株買いについて

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3月の後半にはいちご株価は200円台前半となっていました。
その局面でなぜ自社株買いをしなかったのかという質問ですね。

いちごは機動的自社株買いを表明していますので、株主であれば当然気になるところでしょう。

キャロン会長も自社株を買いたくて仕方なかったとのことです。
(タイミングについてはインサイダー情報などのからみもあるので自由に買えるわけではありません。)
ただ、コロナウイルスの今後の影響によっては万が一の事態があり得るかも知れないことと、今後場合によっては物件や企業が格安で買えるかも知れない、そういったアップサイドのシナリオも残しておきたいとのことでした。

ただ、機動的な自社株買いは行っていくとのことでした。
自社株買いについては今期も期待して良さそうですね。

気になった質問はこの2つですね。
あとは、コロナウイルスの感染防止のため今年の株主総会は役員の見送りをしないということになっていたのですが、登壇役員全員で見送りをしてほしいという質問があったようです。

何というか・・・ という感じですね。笑

株主総会全体を通して

いちごの株主総会全体を通して、低迷する株価についての言及が何度かありました。
キャロン会長はいちごの株価をかなり気にしているようでしたね。

以前から、いちごの株主総会では株価について会長が話す機会が多く、今回の株主総会でも低迷する株価について謝罪の言葉がありました。

株価が低迷しているのは株主としては辛いところですが、経営陣が気にしていることが伝わってくるのは悪くないですね。

いちごの株価が今後どうなるか長期的に楽しみにしています。

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