無題15

今回はインフラファンドの紹介を行います。

国内のインフラファンドは上場から日が浅く銘柄数も少ないので、あまり注目されていませんが、高い分配金利回りと安定性が魅力です。

REITは利回りが3%~5%程度ですが、インフラファンドは6%~7%の利回りがあります。


インフラファンドとは
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インフラファンドとは所有しているインフラ施設の収益を投資家に分配するというファンドです。

といっても、現在上場している銘柄は全て太陽光発電所を投資対象としています。

インフラファンドの制度設計はREITと同様で、投資家に利益の大部分を分配することで利益から税金が徴収されません

ですので、高い分配金利回りを実現できます。

インフラファンドは太陽光発電版のREITとも言えます。

今のところインフラファンド=太陽光発電ファンド
と言える状況ですが、太陽光発電による収益は安定しているため、ファンド化しやすいのだと思われます。

太陽光発電収益が安定している理由はFITという制度にあります。

FIT(固定価格買取制度)
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太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーはFITにより、買取単価の金額が決まっています。

発電量に関しても1年というスパンで見れば過去の統計からある程度は発電量が予測できます。

太陽光発電の収益は

買取単価×発電量

で決まります。

よって、買取価格が固定かつ、発電量が予測できる太陽光発電の収益は安定性が高いのです

インフラファンドの一つである、いちごグリーンインフラファンドは10年間の分配金予想を出しているほどです。

また、分配金利回りの高さは、税金が徴収されていないことやFITの他にも理由があります。

それは減価償却費です。

減価償却費
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減価償却費とは、長期間使用する資産は購入時に全て費用計上するのではなく、数年間~数十年間かけて少しずつ費用計上するというものです。

例えば1億円で購入した資産を20年かけて年数百万円程度ずつ費用化していきます。

減価償却費の重要点は、実際には支払いは生じないという点です。

資産購入時に支払いをした後は、毎年減価償却費を計上しますが、減価償却費はどこかに金銭を支払うわけではありません。

あくまでも会計上の処理になります。

ですので、大ざっぱに言うと利益が0円であっても減価償却費が500万円あるならば手元に500万円が残ることになります。

昔から不動産投資が人気なのはこれが理由の一つです。

不動産投資はキャッシュを生む力があります。

話を太陽光発電に戻します。

太陽光発電所も資産ですので、減価償却費が発生しています。

減価償却費用は手元に残りますので、それを分配金として投資家に支払うことで分配金利回りがより高まるのです

もちろん、減価償却費を分配金に回さずに新規発電所の取得に使用することもできます。

その場合も長期的には新規発電所の収益が分配金利回りを高めることになります。

このように減価償却費を分配金に回すことで高い利回りを実現することが可能ですが、減価償却費があるのはREITも同じです。

ではどうして、REITよりインフラファンドの利回りが高いのでしょうか?

それは立地状況にあります。

インフラファンドは資産に占める土地の割合が少ない
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土地は減価償却ができません。

ですので、同じ一億円で不動産や施設を購入したとしてもそのうち土地代がいくらかかったかで、減価償却費は大きく変わります。

土地代が5,000万円、建物が5,000万円であれば減価償却の対象となるのは5,000ですが、土地代が1,000万円であれば、9,000万円が減価償却の対象です。

このように、資産に占める土地の割合が少ない方が同じ資産額であっても減価償却費用が増えるため、手元に多くのキャッシュが残ることになります

太陽光発電所は広大な土地が必要となるため、住宅街や繁華街から離れた地域に建設されることが一般的です。

そういった土地は安いので、土地代の高い都会のビルなどを保有するREITよりインフラファンドは減価償却の対象となる資産の割合が多くなります

実際、インフラファンドの多くは減価償却により得た多額のキャッシュの一部を分配金として支払っています。

これがインフラファンドの分配金利回りが高い理由の一つです。

減価償却費をもとにした分配金は利益超過分配金と呼ばれ、会計上の扱いは資産の払い戻しとなりますが、少し前に流行したタコ足配当とは性質が異なります。

タコ足配当は分配金を維持するために資産を売却して配当に回していますが、インフラファンドの利益超過分配金は上記のとおり、会計制度を利用した計画的な分配金であり、ファンドが保有する資産を切り売りしているわけではありません。

保有資産を毀損しているわけではない、この点は大きく異なるのです。

ですので、インフラファンドは利益超過分配金を出しても安定した運用を行うことができます。

ただし、利益超過分配金を出さずに新規投資費用とした方が将来的に収益を伸ばすことになる可能性は十分あります。

その点は各ファンドの運用方針を確認して自分の投資方針にあったインフラファンドを選びましょう。

利益超過分配金の割合はファンドごとに異なりますので、比較してみると面白いですよ。

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