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みなさん、こんばんは。

経済的自由を目指す投資家の森田です。

先日、【2337】いちごの決算について記事にしました。


その後、気になった点を問い合わせしたり、決算説明会の質疑応答がIRされたりしましたので、今回はいちごの決算補足記事についてです。



いちご 決算説明会質疑応答
無題

質疑応答は決算説明会の動画で確認できますので、前回の記事でも気になる点は書いていますが再度確認していきましょう。

IRはこちら

質疑応答についての要約と所感です。

不動産市場の買い手について

主な買い手は機関投資家や個人富裕層

コロナ禍でダメージを受けたホテルや商業への投資意欲も。

投資意欲は回復してきており、すでに第3四半期に172億円の売却を決定しているが、更なる上乗せの可能性も十分にある。

※機関投資家はホテルや商業施設についても興味を持っているようですが、オポチュニスティック投資(収益性の低い物件を取得し収益性を高めたうえで売却する投資スタイル)の側面が強いようです。

安く買えるのなら買い手はいるようですが、いちごは保有物件を安値で売却するつもりはないとのことですので、今期はレジデンス、ロジスティクス以外の売買は停滞しています。

不動産への投資意欲は回復傾向とのことで、更なる売却に期待しています。

いちごが保有するオフィスはマーケット賃料より 3 割ほど安いので、コロナの影響を受けにくくリスクヘッジになっているとのことだが、マーケット賃料までの増額は見込めるのか
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賃料増額については、十分に狙えると考えている。

現在の契約のままでは2年ごとの契約更新時に1回で3割の賃料ギャップを埋めることは難しいが、退去した場合は新規顧客との契約となるので現在の適正賃料で契約できる。

※いちごの保有するオフィスの賃料は相場に比べて3割程度安く、今後賃料増が期待できます。
(そういった物件を狙って取得しているのでしょう)

コロナ禍の影響で仮に退去するテナントが出た場合は、新しいテナントと相場の賃料で契約できるため収益が増加する可能性があるということです。

オフィスビルのテナントの業種内訳、テナントの解約状況は

テナント数は約200。

コロナ禍により賃料減額または退去の申し出があったのは4件、解約は2件。

テナントの業種は情報通信とサービス業で全体の50%、製造業が約20%、その他が30%。

※現時点ではそれほどコロナ禍のオフィスへの影響は無さそうですね。

いちごのオフィス物件は中規模物件が主体ですので、坪単価当たりの賃料は大規模オフィスより低くなっており需要があります。

下半期の物件取得の見通しと売却について回転率と利益率のどちらを優先する方針か
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現時点で下期約 140~150 億円、上半期と合わせ通期では約 350 億円の取得が見えている。

下半期も取得の大半がいちごオーナーズのレジデンス取得。

オフィスも約 20 億円の案件が進んでいる。

売却方針については従前どおり、当社が想定している利益率を実現できる場合に限り売却を行う。

利益率を下げてまで無理に売却する考えはない。

※前期は500億円程度の取得ですので、取得は例年より少なくなる見込みですね。

今期はレジデンスが取得、売却ともに中心となります。

オフィスも進行中の案件があるとのことですので、値段が折り合えば取得が進むと見られます。

売却については、以前からの説明通り利益率を下げてまで焦って売却することはないということですね。

コロナにより今後、投資機会が出てくると思うが、ディストレス投資(※)を行う考えはあるか。
その場合、単独・他の投資家と共同、どちらで行うか。
(※)財務面等で危機に置かれている状況下で、本来の資産価値より割安な状況にある物件への投資

そういう投資を行っていく。

マーケットに不透明感がある時は、不動産投資に対する考え方にばらつきが出るため、当社にとってはチャンス。

投資機会を逃さないために潤沢な資金を用意してきた。

単独か共同出資かというところでは、特にどちらと決めていないが、外部の投資家からの共同出資のオファーは受けている。

※現在は売買マーケットの価格が折り合わないため、取得が難しくなっていますが割安に取得できるチャンスがあれば投資していくとのことですね。

そのためにいちごはキャッシュを重視した経営をしており、豊富な資金を有しています。

いちごは前期と今期にかけて販売用不動産から固定資産へ多額の振替を行いました。

このことにより、減価償却費がかかり会計上の利益は減少しますが、減価償却費はキャッシュの支出を伴いませんので手元資金は増加します。

共同出資のオファーもあるということですので、今後更なる取得の可能性もありますね。

自己株式取得の決定について、現在の株価を割安と判断した根拠は
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今期の業績はコロナの影響を受けているが、当社の巡航ベースの収益性、および今後の利益成長は株価に十分に反映されていないと考えている。

加えて、当社は含み益を大きく有している。

ホテルや商業は含み益が減少する可能性があるものの、当社が保有する物件は機能性、立地、賃料面で優位性があり、実際に売却すれば 1,000 億円程度になる将来利益を有している。

※いちごは決算発表と同時に自社株買いを発表しています。

いちご本来の収益性、今後成長を加味すれば現在の株価は割安という判断です。

また、保有する不動産は鑑定評価額で500億円を超える含み益となっています。

過去の売却益は鑑定評価額の2倍以上上回る実績があり、このことから実質の将来利益は1,000億円程度になるという計算です。

自社株買いを機動的に行えるのもキャッシュがあればこそなので、ここにもキャッシュを重視した経営がいきていますね。

質疑応答以外の部分で気になった点を問い合わせしました。

以下、その内容です。

ストレージについて
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いちごは2017年にセントロを買収したことにより、ストレージ事業に参入しています。

ストレージとはトランクルームのことです。

ストレージ市場は成長市場であり、米国と比べても普及率はまだまだ低く国内でも成長が見込める分野となっています。

最近の決算説明会ではストレージの話がでてこないので状況を聞いて見ました。

現在も出店を継続しており、室数は参入当初の1,900室から4,000室まで増えているとのことです。

コロナ禍によりホテルが大きな打撃を受ける中、レジデンスは好調であるように、異なるアセットタイプの物件を持つことで、市況の変化に強くなると考えていますのでストレージの成長に期待しています。

またいちごは10月20日新たな太陽光発電所の売電開始を発表しました。

いちご瀬戸定光寺町ECO発電所発電開始
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いちご瀬戸定光寺町ECO発電所が発電を開始したと発表しました。

クリーンエネルギー事業は安定性が高いことが特徴です。

まだまだ、いちごの事業全体に対する割合は低いですが、今期は主力である心築事業が大幅に落ち込む中クリーンエネルギー事業は大幅に成長しています。

いちご初の風力発電所の稼働も控えており今後成長を期待している事業です。

FITの改正などで収益性が不安視されている面もありますが、風力発電所のNOIは12%程度ということですので申し分ないですね。

いちごの成長に今後も期待しています。

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